インド人と聞くと思い浮かぶのは、カレーとベジタリアンの強い関係だと思います。それは宗教に関係あるのか?と言う疑問については過去、こんな記事を書いていますので、よろしければご覧ください。
目次
インド人と菜食主義と宗教の関係
簡単に上の記事の要点をまとめますと、
- ヒンドゥー教徒は牛の中に神羅万象の神がいると信じているため食べない。
- 多くのヒンドゥー教徒の菜食の概念は特に殺生に関して厳しいルールを持っているジャイナ教の影響もある。しかるに牛肉以外の動物も食べない。
日本にも動物を殺生せずに作られた、精進料理というものがありますがそのようなものと思ってもらって構いません。
インド自体は多民族で多宗教の国家ということは客観的な事実で、過激なヒンドゥー教徒至上主義者が肉食を提供する場所を度々襲う事件は時々起こるようです。
そもそもなぜ、インド人は長い間菜食を続ける人が多いのか、その疑問を私の周りの人の意見を見ながら見ていきましょう。
どうしてインド人は菜食主義を辞められないのか?
ベジタリアンに口うるさいヒンドゥー教徒のインド人はどうしてそこまで菜食主義にこだわるのか、私の旦那の家族や友人を通して宗教だけが必ずしも問題ではないことがわかってきました。
体に悪いから
肉食=体に悪いことを訴えてくる人がいます。ただしここでは牛肉の赤みの肉のことを指しています。赤身の肉が私たちの手元に届くまでは加工されてあったり、添加物も加えられていたり、まっさらな新鮮な状態のお肉が食べられる機会は少ないですよね。
よく私の周りのインド人は赤身の肉は人間の消化器では完全に消化するのが難しく、それでお腹を壊す人が多いと言います。
うーん確かに、私は牛肉を食べてからお腹を壊すことも多いし、何より便秘気味になるのが悩みの種でした。体臭もきつくなるしあまりいいことがなかったので、食事から牛肉を除外するとこういった悩みは途端に減ったのは事実なのであながちめちゃくちゃな論理ではないでしょう。
さらに最近はファストフード店で買ったバーガーのパティに牛肉が入っていると高い確率で、お腹を下すので私はほとんどベジタリアンバーガーかヴィーガンの物しか頼みません。
それでもお腹はちょっと痛くなるので、添加物たっぷりのファストフードは体に絶対悪いことを確信しています。
周りの体裁を考えたら肉食できない
日本人と同じくインド人は大抵世間の目を気にする人が多いです。子供は親や親戚の言い付けは絶対聞かなければいけないし、ベジタリアンで育った子が肉食になるなんて相当なことない限り家族から受け入れられることは無いでしょう。
私の旦那はピュアベジの家庭で育ったので、肉を食べているなんて親兄弟にいまだ打ち明けられていないようです。ヨーロッパに何十年もいるけれどやはり罪の意識があるようです。
今私達が住むスウェーデンのインド人の友人たちも肉を食べながら、表向きは菜食だと言いますが、誰もが言葉半分で聞いています。自分で肉食だと主張するのは、はばかられるものがあるのでしょうね。
インドは伝統を重んじる人が多いから
インドは宗教的な伝統を重んじます。「伝統だから」と言われたら人々は疑問を持たずにそれに従います。
家族の体裁やメンツなどに加えて、インドの社会では宗教的な伝統が個人の思考をがんじがらめにしている、ということを知りました。
ベジタリアン食ばかりで飽きない?栄養の偏りが気になる?
インドに行って見て思うんですが、ベジタリアンと言ってもいろんなバラエティの食事があります。日本の精進料理なんて叶わないぐらい。
ぶっちゃけ暫くインドに行っても飽きません。むしろお野菜だけ食べているという安心感さえ生まれてきます。笑
例えば、牛乳から作るパニールというカッテージチーズをサイコロ状にしてカレーに入れたり、グリルで焼いたりするとお肉を食べている錯覚に陥りますし、タンパク質が豊富です。
ベジタリアンで気になるのは、栄養の偏りですね。徹底した菜食主義のヴィーガンよりは乳製品など幅広く栄養が取れるし、大豆などのタンパク源からも欠乏しがちなアミノ酸は十分摂取可能です。
インドの食事にはダールと呼ばれるレンズ豆をふんだんに料理に使いますし、最近では大豆ミートを食事に取り入れる家庭も多いですので、個人的に栄養の偏りは無いと思っています。
インドの食品はどうしても、油分や糖分、炭水化物を含む食品が多くなりがちです。肉を食べない分、どこかにしわ寄せがいってしまった結果だと思っています。
インドでは菜食主義があまり良くない、というより環境による影響や食習慣から引き起こされる病気が多いので一概に菜食主義が悪いということはできません。
菜食をしばらく続けたメリット
みなさんが一番気になることは菜食主義を続けたらどうなるか?ですよね。
私が限定的に3週間インドで菜食だけで過ごした感想、個人的なメリットはこちら
- 食事した後体が重くない
- 便通がいい
- 食事の絶対量を減らすことが出来る
- 幸福感を得られる
インドで菜食主義を貫くのはとても簡単でした。特に旦那の故郷であるグジャラート州は肉食が出来ませんのでなおさらピュアベジの食事や新鮮な野菜を使ったカレーを食べることができるからです。
インドに行ったからかどうかはわかりませんが、少ない食事でも満足できるようになりました。野菜だけを食べているという個人的な満足感からかもしれません。
菜食をすることによってあれも食べたい、これも食べたいという食欲が一切なくなり瞑想を取り入れたい人は雑念が消失するためとても良いと思いました。
短期的にデトックスするみたいな感覚で菜食主義を期間限定で取り入れるのも、精神的な面でオススメですね。
菜食のデメリット
菜食を取り入れたデメリットはこちら
- すぐお腹が減る
- 鉄分不足
- 食事の準備が大変
菜食は少しの量でもその時は満足できるんですが、お腹がすぐ空いてしまいます。お肉を食べると消化が遅いのでそんなことはあまり起こらないんですが、これは菜食ならではのデメリットです。
これは自分のせいなんですが、鉄分の不足が起こり1回フラフラで倒れそうになったことがあります。鉄分を含む食品を積極的に取らなかったせいなんですが、菜食は気をつけないといくつかの栄養素が欠乏してしまう危険性がある、ということを念頭に置かなければいけません。
鉄分は緊急にサプリメントで補給しましたが、忙しい現代人にとっては菜食主義だけでやって行くのはかなりの努力が必要だと痛感しました。
あとは食事の準備が毎回毎回大変です。野菜をむいたり切ったりする作業がたくさんあるので、社会人やワーキングママ・パパさんは料理が大変ですし、作り置きなどの工夫をしないとちょっと厳しいですね。
菜食主義はオススメしない?
1回フラフラと私が倒れそうになったり、旦那が医者から鉄分が足りていないと注意されてからは、菜食主義に囚われることをやめました。
短期的なメリットはたくさんあったものの、長期的に見て完全な菜食主義はあまり健康に良くないんじゃないか、と判断したためです。
私たちがしていることは週1.2回のペースで豚肉かチキンを食卓に積極的に取り入れることです。これぐらいならお腹に影響も出ませんし、健康を害することはおそらく無いでしょう。
宗教的な面は置いといて、小さい頃から習慣がない人には個人的に完全にベジタリアンになるのは大変かな、と個人的に思いますし、気安くオススメはしたく無いなぁと思いました。